神社仏閣

【磐船神社】饒速日命の降臨伝承地、天の磐船、岩窟めぐりも

瓊瓊杵尊 (ニニギノミコト) が日向の高千穂に天下られた、ということは周知の神話だが、日本書紀は、別の天孫降臨神話を記してもいる。 饒速日命 (ニギハヤヒノミコト) が天の磐船に乗り河上哮ケ峯に降臨されたという、その雄大な神話は、知るほどにわたした…

住吉神社(おまつの宮・生駒市南田原町)、饒速日尊、星が森に抱かれた古社

大阪府と奈良県のあいだにつらなる生駒山系。数々の饒速日 (ニギハヤヒ) 伝承に彩られているその山系の北部は、同時にまた住𠮷神の足跡が色濃く刻まれている土地でもある。 なぜ、この一帯で住𠮷神がさかんにまつられるようになったのだろうか。 磐船神社 (…

【八幡神社 (橿原市山本町) 】神武天皇の皇子、神八井耳命の墳墓伝承地

神武天皇の皇子、神八井耳命 (かむやいみみのみこと) は第二代・綏靖天皇の兄御子で、多氏の祖とされている。 日本書紀は畝傍山の北に葬られたと記す。 かつて八井神社と称されていたとされる八幡神社 (橿原市山本町) の本殿がたつ、盛り土状の小丘が、その…

【出雲大社】縁結びの神様に素敵なご縁を頂戴したはなし

みんなが良き縁 (えにし) をもとめている。 自分自身、あるいは家族の誰かがすてきな縁を結びますようにと。 縁結びの御利益をもとめて、大勢の参拝者があしをはこぶ出雲大社は、国譲りに際して大国主神が幽世にお隠れになるために建てられた天日隅宮 (あめ…

【祇園祭】前祭、後祭。あなたは今年もただ山鉾巡行を眺めていただけ?

7月の京都は、祇園祭一色になる。 連日のように祭りの様子が話題になり、なかでもその前祭 (さきまつり) 後祭 (あとまつり) のクライマックスとも目される山鉾巡行の当日は、多くのヒトたちがまちに繰り出し、浴衣姿の人波がゆっくりと押し寄せるなか、市街…

【等乃伎神社】古事記にしるされた古代巨樹祭祀の残像を求めて

失われた古代祭祀の全容を知ることは容易ではない。 周知のように銅鐸などはなんらかの祭祀につかわれていたのでは、と考えられているが、それについての詳細な記述は、記紀のような古典においても見ることができない。ただ土の中に埋められて、語られること…

【京都市上京区】晴明神社 ~五芒星、清明井、一条戻り橋を越えて~

京都の晴明神社というと、なにやら魑魅魍魎の跋扈するといったイメージを抱くヒトもおられるのだろうか。曰く、陰陽師、安倍晴明公、式神…。 しかし、それらは人気の歌舞伎や映画などの創作の世界にに引きずられたものだ。 実際の晴明神社の坐すのは、京都御…

【大阪市阿倍野区】安倍晴明神社。清明公御生誕伝承の地で葛の葉姫に出会う

平安時代の陰陽師 (おんみょうじ)、天文博士、 安倍晴明公の人気は、現代にいたり世上ますます高まっているように思われる。幾たびも小説や映画に取り上げられ、先日 (2023・4・2~2023・4・27) も、東京銀座の歌舞伎座において、市川猿之助、脚本・演出の『…

因幡の白兎伝承をめぐって。古事記神話、白兎神社、亀井玆矩公の視点から

古事記にあって、もっともよく知られひろく親しまれているのは、因幡の白兎 (稲葉之素菟) のくだりに違いない。 淤岐島から今まさに気多の前に渡り終えようとしたときに、兎は鰐を怒らせてしまい毛皮を剝がれてしまう。そこに八上比賣 (八神姫) に求婚するた…

【奈良県香芝市】鹿島神社、武甕槌大神をまつる社。下田界隈を散策して

JR香芝駅に列車がはいっていく。 踏切のバーがあがり、わたしは瓦屋根のちいさな駅舎のほうに歩みをすすめた。 やれやれ、こんな風に時間を潰すことになるとは。 今日が4回目のワクチン接種だった。 いったいいつまで続くのだろう、という徒労感にもまして、…

【鳥取県日野町】金持神社、金運招福の社を回想して。

山あいの、片側一車線の曲がりくねった国道を東に向かってはしっていた。並走するように流れている清流・板井原川の川面が、ときおりきらきらとひかっていた。 さきほど、突然山中にあらわれた巨大な緑色の鬼の像のことを思い返していた。それはまるでニュー…

【大阪市住吉区】止止呂支比賣命神社、そうだトトロに会いに行こう!

となりのトトロが好きだ。 メイとサツキはお父さんに連れられて田舎の一軒家に引っ越してくる。そこには「まっくろくろすけ」というまりものようなススのお化けが住みついていて、空き家を好むかれらは一家がやってくると、その夜、次の居場所をもとめて空へ…

【鳥取県米子市】粟島神社 。 静の岩屋、八百比丘尼の眠る洞 (あな)

よく晴れた日だった。 道路の見通しはよく、行き交うクルマもすくなかったが、けっしてとばしたりはしなかった。 速度を50キロにあわせることに集中する。スピードメーターとにらめっこだ。 突然、路面からの細かな突き上げを感じ、大きな音が響きわたる。雪…

【大阪市住之江区】大阪護国神社、桜の舞い散る頃に

「護国神社ってのは年々参拝者が減少しているんだろうねえ。なにしろ戦争遺族の数はどんどん少なくなっているわけだからさ」 新なにわ筋と住之江通がまじわる住之江公園前交差点にかかる、少々古ぼけた歩道橋のうえで旧友は言った。むかしの職場の同僚だ。こ…

【島根県松江市】八重垣神社・鏡の池で恋の行方を占える! 稲田姫の思慕

水占い、というものが全国あちこちの神社仏閣に存在する。 試されたかたもおられよう。 授与所で拝受した用紙を境内の池や沢に浮かべる。あるいは流れ落ちる清水をかける。 するとそこに神託の文字が浮かびあがってくる。 おみくじの一種ともいえるわけだが…

【大阪府羽曳野市】河内源氏、壷井八幡宮、そして効果的な水分補給の一方法

月が替わり八月になった。 夏も盛りというわけで、この暑さも当然なのかもしれない。 しかし、夕方4時すぎ、クルマの車外温度計が36度をしめしているのは、いくらなんでもやりすぎだと感じていた。 我慢の限界をこえていた…。 運転中ずっと理不尽だ、無茶…

【葛城一言主神社】一言の願いならなんでも成就の関西最強パワースポット!

あるとき、雄略天皇が葛城山に多くのお供の官人を従えて登られていたところ、向こうの尾根を行くヒトたちがいた。それが天皇の行列と人数も装束もまことに似通っていた。 天皇はお尋ねになられた。 「この国に、わたしのほかに王はいない。あなたは誰か」 す…

【奈良県橿原市】大和三山・天の香久山訪問記、登山道、磐座、神社、国見台からの眺め。

香久山、耳成山、畝傍山…。大和三山の中でも、古よりしばしば「天の」と尊称を冠して呼びあらわされ、一等神聖視されてきたのが香久山だ。 天照大御神の天岩屋戸神話、神武東征のさい香久山の埴土 (はにつち) で祭器をつくり、天神地祇 (あまつかみくにつか…

【奈良県葛城市】七夕の夜空に願うこと、棚機(たなばた)神社

子供のころの七夕の記憶といっても、なにやら願い事を書いた短冊を笹竹に結びつけたかな、といった非常にぼんやりとしたものでしかない。 五節句のひとつとはいえ、大人になってからはすっかり意識のすみに追いやられて、織姫と彦星の名前を口にすることもな…

飛鳥戸神社と観音塚古墳に行ってきた。うかつにも子供のころの甘い思い出がよみがえってきた。

「近つ飛鳥博物館」「道の駅 近つ飛鳥の里・太子」「飛鳥ワイン」「飛鳥橋」…。 遠方から大阪府太子町や隣接する羽曳が丘 (大阪府羽曳野市) のあたりにはじめて来たヒトのなかには、首をかしげるむきもおられるだろう。 ねえ、飛鳥って奈良じゃなかったかな…

北緯34度47分、東経135度71分に祈りを

7日前、葛城坐火雷神社 (かつらぎにいますほのいかづちじんじゃ) に参拝した時のようすをしるしたブログを投稿した。そこがいまや鬼滅の刃の聖地と目されていて、多くの若者たちが訪れていること。火雷大神 (ほのいかづちのおおかみ) と天香山命 (あめのか…

だれが大和三山を眺めながら鬼滅の刃を耽読するのか、葛城坐火雷神社をあとにして

赤面確実とは、こういうことを言うのだろう。 二上山と葛城山の山麓を南北にはしる県道30号線 (御所・香芝線、通称山麓線)の周辺には、葛城坐一言主神社、高鴨神社、高天彦神社などの名だたる古社をはじめ、多くの古墳が点在している。また、そこからは奈良…

人生の贈り物。春、持田神社でいただいたもの

冬の持田神社は美しい。ソフトビジネスパークから西にのびる農免農道でクルマをとめて、うっすらと雪をかぶったその姿を初めて見たとき、わたしは身じろぎもせず、しばらくの間、見入っていた。鳥居がまるで神域への入り口のように、ぽっかりと口を開けてい…

午後、生駒神社で見えたもの。絶頂の焔(ほのお)、秋祭り、甘南備、既視感、その他…。

休日の午後、ぽっかりと時間があいた。 スーパーの買い出しからもどってきたのが正午過ぎ、歯医者の予約は夕方の6時だった。歯医者にはもう1年も通っているが、まだまだ終わりそうにない。 すべては、このウイルス騒ぎのせいだ。 前歯が抜けた。これまでなら…

美保関町の思い出。美保神社を中心に、北浦海水浴、関の五本松

春の夜(よ)におぼろに浮かぶ三日月のようだ、美保の港は。 大国主命が少彦名命と出会った御大之御前(ミホノミサキ・美保の岬)とは、いずれここから遠くはないのだろう。 植物でできた船に乗り、剥いだ鳥の皮をかぶった小さな神様…。名を問われても答えること…

海亀とバイパスと出雲大社と

大社町で神賀詞についての講演会が開かれると聞きつけて、それならたとえ末席でもいいから、是非とも話を聞いてみたいと思った。今となっては変な話だ。でもその時は、もう居ても立っても居られなくなって、急いで家を飛び出したんだ。本当の話だ。 うそでは…

宇佐神宮を目前にして、苦笑まみれになったたったひとつの残念な理由

車窓から 初めて宇佐神宮に参拝することになったその日、わたしは朝から居住まいをただし、ずいぶんと身構えていたものだ。それはそうだろう。全国4万社あまりある八幡社の総本宮。神仏習合発祥の地。(そしてまたお神輿発祥の地でもあるそうだ。)この地もま…