【葛城一言主神社】一言の願いならなんでも成就の関西最強パワースポット!

あるとき、雄略天皇葛城山に多くのお供の官人を従えて登られていたところ、向こうの尾根を行くヒトたちがいた。それが天皇の行列と人数も装束もまことに似通っていた。

天皇はお尋ねになられた。

「この国に、わたしのほかに王はいない。あなたは誰か」

すると相手も、おなじ言葉を返された。

「この国に、わたしのほかに王はいない。あなたは誰か」

天皇は大変お怒りになり、御自身も、お供の官人たちもいっせいに弓矢をかまえられた。

すると向こうの尾根のヒトたちも、みな弓矢を構えた。

天皇は仰せになった。

「名を名乗れ。そしてお互いに名乗ってから矢を放とう」

「わたしがさきに尋ねられたので、まずこちらから名乗ろう。わたしは悪事 (まがごと) も一言、善事 (よごと) も一言で言い放つ言離神 (ことさかのかみ)、葛城の一言主大神 (かつらぎのひとことぬしのおおかみ) である」

「畏れ多い大神よ。ヒトの姿でお出でになられたのでわからなかったのです」

天皇は御自身の刀と弓矢、そして官人たちの着ていた衣服を脱がせて献上した。

大神は柏手を打ち、それらを受け取られた。

 

葛城一言主神社

 

葛城一言主神社 (葛城坐一言主神社・かつらぎにいますひとことぬしじんじゃ、奈良県御所市) の創建年は不詳とはいえ、狩りをする雄略天皇一行のまえに、大神が御姿をあらわされた地に社殿を創建したのが始まりと伝えられている。

その際に、大神が仰られたお言葉から、一言の願いならどんなことでも叶えてくださるありがたい神としてひろく信仰を集め、全国各地の一言主大神を奉斎する神社の総本社となっている。
延喜式神名帳 (927年) では名神大社に列せられた。

鳥居のすぐ後ろ、人目につきにくいところに蜘蛛塚がある。

ここに限らず、葛城山周辺には蜘蛛塚 (土蜘蛛塚) と称されるものが多くある。

拝殿へと向かう長い石段のわきに、亀石がある。

役行者が悪行絶えぬ黒蛇を調伏し、そのうえに亀の形をした石を置いたものと伝えられている。御利益を求めて、多くの参拝者がそこから滴り落ちる水で身を清めるという。

境内に高くそびえる銀杏の御神木は樹齢千二百年ともいわれ、子宝の御利益があるとされている。

拝殿横に、雄略天皇像がある。
大神との問答のときをイメージしたような緊張した表情だ。

わたしの願いは…

雄略天皇が大神と出会われたとき、じつはこっそりとなにか一言お願いをされていたのならどんなに面白いだろう。そんなことを思いながら、わたしは静寂のなか拝殿へと歩み出た。

さて、わたしはなにをお願いするつもりでここに来たのだったか…。

いったいわたしはなにを願っているというのだろう。