暮らし

行ってよかった 葛城市相撲館「けはや座」 大相撲春場所開催によせて

我が国最古の天覧相撲の記録は、日本書紀によると、第11代垂仁天皇の御前での大和国の當麻蹶速 (たいまのけはや) と出雲国の野見宿禰 (のみのすくね) のとりくみとなる。 もっともこの時代の捔力 (すまひ)、現代の角力 (すもう) とは少々異なっている。 なに…

【奈良県香芝市】鹿島神社、武甕槌大神をまつる社。下田界隈を散策して

JR香芝駅に列車がはいっていく。 踏切のバーがあがり、わたしは瓦屋根のちいさな駅舎のほうに歩みをすすめた。 やれやれ、こんな風に時間を潰すことになるとは。 今日が4回目のワクチン接種だった。 いったいいつまで続くのだろう、という徒労感にもまして、…

【京都府笠置町】浄土を頂くやすらぎの里・笠置を繰り返し訪れるこれだけの理由

笠置山登山道の急な坂道をクルマはのぼっていった…。 ここをはじめて訪れたのは17歳のときだった。そのときは歩いてここをのぼっていったのだ。もし、いまおなじことをしたなら、さぞや苦行と感じることだろう。 当時のわたしは、JR奈良駅 (あるいは当時はま…

安倍晋三元首相の死を悼む。異質なものを「はぶく」風潮に怒りを。

昨日7月8日、午前11時半ごろ、奈良市の近鉄西大寺駅前で、安倍晋三元首相が銃撃された。心肺停止状態で奈良県立医科大学附属病院に搬送されたが、同日午後5時3分、死亡が確認された。 想像だにできない蛮行だ。 各党は直ちに声明を発表した。 いわく……、 「…

【大阪府太子町】二上山・雌岳に実際に登ってみた。山の神の息づかいを濃密に感じた。

おなじ山頂を目指すにしても、そこにいたる登山ルートは幾通りも存在する。 よく整備され、舗装の行き届いたおだやかなルート。山中行軍とでも嘆きたくなるような急勾配のみち。そして文字通りのけもの道…。北から、南から、西からと起点を違えたさまざまな…

二上山山中に眠る古代信仰の跡、N君の思い出、大阪府太子町

休日の朝、庭先の白い花が芳香を放つ。 その花をつけた木は、玄関からガレージにむかうあいだにある。大豪邸ではあるまいにほんのわずかな距離、前日も、前々日も、毎日そのよこを通っていたのに、気づいてやれなかった。 元々、そこには背の高いハナミズキ…

屯鶴峯。奈良県のインスタ映えスポット、次に来るのはここだ!

近鉄南大阪線・上ノ太子駅と次の二上山駅のあいだは、わずか5キロあまり。その短い距離のあいだに、じつは戦前まで、もうひとつ駅があったとつい最近になって知って、たいへん驚いたものだ。どこにあったにせよ、それは山深いところにポツンと駅があったこと…

大阪府太子町、飛鳥戸神社と観音塚古墳に行ってきた。うかつにも子供のころの甘い思い出がよみがえってきた。

「近つ飛鳥博物館」「道の駅 近つ飛鳥の里・太子」「飛鳥ワイン」「飛鳥橋」…。 遠方から大阪府太子町周辺にはじめて来たヒトのなかには、首をかしげるむきもおられるだろう。 ねえ、飛鳥って奈良じゃなかったかな、飛鳥ナンバーのクルマって奈良だよね、と…

大阪府太子町はお勧めの観光スポットがいっぱい。二上山のむこうにいのちの再生を見た。

二上山 (にじょうざん・ふたかみやま) は雄岳 (標高 517メートル)、雌岳 (標高 474メートル)の二つの峰を持つ双耳峰である。 先週の休日、わたしは長いあいだ、その山を奈良県香芝市の千股池のほとりから眺めていた。 暑かった。 まだ五月だというのに、天気…

ゼレンスキー・カプチーノの夜、58歳ドールハウス製作にいそしむ (2)

禁煙をしようと思った。 きのうの午前9時、最後の一本に火をつけると「さあ、やりますか!」 わたしは禁煙について語らせれば、日本でも屈指の存在かもしれない。なにしろ過去に百回以上はチャレンジしてきた。 まず家を出るとき、安易にタバコを購入できな…

奴奈川姫 (ぬなかわひめ) の大車輪、得点10・00

我が家の廊下の板には、傷んでいるところが一か所ある。階段のしたあたり。そこを歩くと、かすかにキュッと音をたてる。 この五年来、わたしは帰宅してリビングに向かうとき、いつもわざわざその板を踏む。…ただいま。 ドーン! テレビを見ていると、廊下で…

北緯34度47分、東経135度71分に祈りを

7日前、葛城坐火雷神社 (かつらぎにいますほのいかづちじんじゃ) に参拝した時のようすをしるしたブログを投稿した。そこがいまや鬼滅の刃の聖地と目されていて、多くの若者たちが訪れていること。火雷大神 (ほのいかづちのおおかみ) と天香山命 (あめのか…

だれが大和三山を眺めながら鬼滅の刃を耽読するのか、葛城坐火雷神社をあとにして

赤面確実とは、こういうことを言うのだろう。 二上山と葛城山の山麓を南北にはしる県道30号線 (御所・香芝線、通称山麓線)の周辺には、葛城坐一言主神社、高鴨神社、高天彦神社などの名だたる古社をはじめ、多くの古墳が点在している。また、そこからは奈良…

人生の贈り物。春、持田神社でいただいたもの

冬の持田神社は美しい。ソフトビジネスパークから西にのびる農免農道でクルマをとめて、うっすらと雪をかぶったその姿を初めて見たとき、わたしは身じろぎもせず、しばらくの間、見入っていた。鳥居がまるで神域への入り口のように、ぽっかりと口を開けてい…

琴引山で大国主の御琴を聞いた、騒擾(そうじょう)を止めるもの、平和の琴の音

琴の音を最後に生で聞いたのは、もう半世紀近く前のことになろうか。 親戚の家で、いとこの女の子たちが、ハレの日にはよく座敷で琴を弾いていたものだ。そう、女の子…。趣味のいい調度品、高価な掛け軸、手入れの行き届いた中庭。琴というと、いまでは和服…

午後、生駒神社で見えたもの。絶頂の焔(ほのお)、秋祭り、甘南備、既視感、その他…。

休日の午後、ぽっかりと時間があいた。 スーパーの買い出しからもどってきたのが正午過ぎ、歯医者の予約は夕方の6時だった。歯医者にはもう1年も通っているが、まだまだ終わりそうにない。 すべては、このウイルス騒ぎのせいだ。 前歯が抜けた。これまでなら…

小さな旅のはなし

家を出て、川沿いの桜並木を眺めながらのんびりと歩いてみた。 そこにいたるわずか10分ほどの間にも、途中にタバコ休憩をはさむ。それでいい。なにも急ぐことはない。それに、わたしにとって気負いなく出かけられるのは、いまはまだこの辺りくらいなものだ。…

美保神社について知っておきたい七つのこと

春の夜(よ)におぼろに浮かぶ三日月のようだ、美保の港は。 大国主命が少彦名命と出会った御大之御前(ミホノミサキ・美保の岬)とは、いずれここから遠くはないのだろう。 植物でできた船に乗り、剥いだ鳥の皮をかぶった小さな神様…。名を問われても答えること…

人生の円環、勝者なきトラックレースで笑うものとは、伊賦夜坂(いふやざか)の周回遅れランナー

夫婦愛などというと、ずいぶんと古めかしい言葉に聞こえて、特に若い人などはそういわれると苦笑して斜めに構えてしまう。わたしのような年配者でも照れてしまうのだから、さもありなんだ。しかしイザナギ、イザナミの夫婦神のことを想うとき、わたしはいつ…

万葉人形劇シアター建設着工のお知らせ、58歳ドールハウス製作にいそしむ

すこし前から右目がかすむ。ある日、ライターの火にタバコの先端をうまくあわせられなくて、あれ、と思った。片目ずつ閉じてみると、右目がうまく見えていない。白い幕がかかったように濁って見えている。そのうちに元に戻るかもしれないという勝手な期待か…

出雲日御碕灯台が照らし出すもの

日御碕神社を染めるもの 出雲大社からくるまで15分あまり、県道29号を北に進むと朱色に塗られた見事な権現造の日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)に至る。現在の社殿は三代将軍、徳川家光の命により日光東照宮の…「いやあ、立派ですなあ。だいだい色、きれいわ…

海亀とバイパスと出雲大社と

大社町で神賀詞についての講演会が開かれると聞きつけて、それならたとえ末席でもいいから、是非とも話を聞いてみたいと思った。今となっては変な話だ。でもその時は、もう居ても立っても居られなくなって、急いで家を飛び出したんだ。本当の話だ。 うそでは…

新年 あけましておめでとうございます

丹生川上神社(中社) 去年に続いて、ことしも初詣のいきさきには、ちょっとした思慮が必要だった。このウイルス騒ぎのせいだ。一の宮や総社は人出のことを考えると、どうしても足を運ぶのを躊躇してしまう。さて、どこに行こうか。大寒波を裂いてクルマをはし…

鹿児島 東南東の風 快晴

火山灰と雪 鹿児島に、最後に雪が降り積もったのは、いったいいつのことなのだろうか。 晴れた日に桜島を眺めるのは気持ちのいいものだ。県外者などは、ついつい荒々しいとか、男性的な、生命力に溢れたといったイメージをそこに抱きがちだ。いちめん、それ…

黙して食せ、ナミノハナ

特製塩ラーメン 2021年9月、堺市中区にあたらしいラーメン店がオープンした。 「おいしい塩ラーメン 波の花」店内に入りメニューに目をとおす。これは…、なんと醬油ラーメンや味噌ラーメンもあるではないか。しかし何といっても塩が一押しなのだろう。そ…

名勝・長門峡をまぢかにして、まどろみながら思った3つのこと

やれやれの、車中泊 阿東(あとう)までにしか進めなかった。本当なら、日の高いうちに島根県との県境をこえ、津和野に至っていたはずなのに…。こんな風になるのは、しょっちゅうだ。余裕をもって出発しても、途中であれやこれやと目移りする。あっちへふらふ…

神武東征御進発の地で、人生の船出について考える

日本海軍発祥の地 名高い神武東征は、いまの宮崎県美々津を船出して始まったと伝えられている。初代天皇神武(イワレヒコ)は途中、宇佐などに立ち寄りながら瀬戸内海を東進、生駒山を越えて大和入りを目指すもナガスネヒコと衝突して敗走。再び海路、紀伊半島…

潜伏キリシタンの資料館は、森のなかにひっそりとたたずんでいた

森の奥深くに 「あった!」 薄暗い森のなか、わたしは満面の笑顔で声をあげた。思わず指さした先にある建物が、予想にたがわず、小さくて華奢だったからだ。それはまるで、絵本にでてくる魔法使いの老婆が住んでいる小屋のように、静かにたたずんでいた。ほ…

宇佐神宮を目前にして、苦笑まみれになったたったひとつの残念な理由

車窓から 初めて宇佐神宮に参拝することになったその日、わたしは朝から居住まいをただし、ずいぶんと身構えていたものだ。それはそうだろう。全国4万社あまりある八幡社の総本宮。神仏習合発祥の地。(そしてまたお神輿発祥の地でもあるそうだ。)この地もま…